126-127: また戦友の死

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また戦友の死

朝早く作業出発のため、よく寝ている隣の戦友の肩に手をかけてもなかなか起きない、オイと声をかけると共に、起こしにかかると友は既に冷たい固体に なっていたのに驚いた。前夜就寝の際に弱い小声で「俺は疲れたよ明日の作業には出られそうもない」「しっかりせよ!皆がお前の分も手伝うから安心せよ」と 元気づけたのに!

ジッーと彼の死顔を見ると、故国日本の家族を偲びながら涙をこぼしたであろう涙跡が凍りついている。彼はよく母親のことを話していた。優しい母親であったに違いない。

彼の死は吾が身につまされ深い悲しみに浸った。つい十分位前に息を引き取ったのか、彼の体より寄生していたシラミが死者にはもう用なしと続々這い出てくるのを見てゾッとした。

21年1月頃~3月末までつづく