98-99: 天幕の中

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天幕の中

干し草作業も終わり、シベリアおろしの厳しい寒風と吹雪がピューピューと聞こえる。

天幕の中は人息で真白である。 気温は零下60度を維持。食糧も途絶えがちであり、夏服と外套のまま、体を寄せ合って、シラミやノミが湧き放題で、体の毛の生えている頭、脇や全身に走り廻っているのが判りながらも、どうする気力すらなく、心の中でのたうちまくる。暖を取る草も無し。 眠れば凍死するので惰眠するのみ。

20年12月下旬頃