天幕の中 干し草作業も終わり、シベリアおろしの厳しい寒風と吹雪がピューピューと聞こえる。 天幕の中は人息で真白である。 気温は零下60度を維持。食糧も途絶えがちであり、夏服と外套のまま、体を寄せ合って、シラミやノミが湧き放題で、体の毛の生えている頭、脇や全身に走り廻っているのが判りながらも、どうする気力すらなく、心の中でのたうちまくる。暖を取る草も無し。 眠れば凍死するので惰眠するのみ。 20年12月下旬頃