著者序文

preface

毎日新聞 

昭和19年10月23日 

大阪23部隊入営記念写真

 

右の写真:兄 信秀

 

家族写真:

右:勇

座っている人:亡き父 勇太郎

隣りの女性:亡き母 スミエ

左:妹 君子

ご挨拶

今回、私の軍歴の思いを、この画集にまとめ、発刊することになりました。私は長らく絵筆を捨てておりましたが、再び絵を描くことになりまし た。最近とみに再軍備がやかましく言われ出しました。過去の経験から、こんなことは二度とあってはならないとの思いをこめて、戦中の記録「満州編」戦後の 「シベリア編」を現在描き続けております。その数250点余りの中から、約100点を選んで、この画集を編集いたしました。

その昔、戦争が終っても、こんな苦しみや怒りがあったのだということを知っていただきたく、記憶をもとに写実的に表現しました。シベリアの土地は、私の経験では、現実にも心の中でも、黒と白の世界であったのです。このように鉛色を中心とした画像であります。 

満州、シベリアの凍土で、多くの同胞、戦友が無念の涙をのんで、彼の地の土になられたことに対して鎮魂を祈り、合掌いたします。