124-125. 哀れな兵隊乞食

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哀れな兵隊乞食

作業の帰途に必ず起ることがある。恥かしい話だが道傍に捨てられた野菜屑、魚の切屑、牛、豚の骨などを見つければ、我先に飛びつき拾う姿は、現在で は考えられない、淋しくも哀しい有様であった。遠くより見るソ連兵が嘲笑的な眼で観るのが分っているのに、俺が拾ったと得々としている兵士の姿はあまりに もうら寂しい。

また日本人同志が争って拾うのを観てソ連兵が"ダバイダバイ" と追い立てる姿は、なおさらいまいましい限り。

昭和21年1月頃