54-55. 腐乱死体は処置なし

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腐乱死体は処置なし

横道河子より牡丹江の道中にて数知れぬ多くの日本兵の死体が認められた。殆どの者は丸裸だ。現地人が軍服を取り去ったであろう。ブッと水ぶくれに膨張した肉体には蛆が一ぱいだ。近寄って何かかぶせてやろうと思えど「否」とロシア兵は止める。仕方なく口の中で南無阿弥陀仏と称え、一眼を閉じ行進する以外処置なしであった。

昭和20年8月19日頃