72-73: 大平原の不安

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大平原の不安

ロシアの平原は実に広い。行けども行けども果てがない。逃亡を恐れるソ連兵は奥へ進むにつれて警戒がきびしくなる。我々は広い平原を進むに従い、一体どこまけ行くのか全く分らない。このまま奥へ進んで行き日本へは何時帰れるか不明だとの不安が心の中に根を張ってゆく。全く広い果の無い草原の奥の深さは恐ろしいと思った。

昭和20年9月初